少年少女に︿未来﹀をうばわれ
│犯罪被害者遺族の心理│
て
467 若松
七三 子
はじめに│街趨の設宰│
第一章少年犯罪に対する司法と支援の︿現在﹀
警エ 草少 年少 女た ちに 息子 を一 殺さ れた 被害 遺族 の傷
T痕1大山栄子さんの受
(ア )事 件が おき るま で (イ )事 件後 の遺 族の 姿 第三 章少 年犯 罪被 宝皐 台遺 族が 求め るも の おわ りに
lA
﹁後 の課 題│
468
はじ めに
﹁も うひ とつ のこ ども の日 一あ る日 突然 わた した ちの 人生 は・
﹂を テ1
7に
﹁少 年犯 罪壁 害当 事者 の会
﹂( 武
るり子代表)が主催する﹁WILL
第四 回大 会﹂ が二
OO二年二月二日︑大阪区民センターで開催され
た︒ 少年 犯罪 で殺 され た子 ども たち への 追悼 と︑ 残さ れた 家族 の現 状を より 多く の人 々に 知っ ても らい たい と いう
︑会 員た ちの 切実 な思 いか ら始 まっ た差 耳で ある 二
δ
O一
年四 月に 少年 法が
﹁改 正﹂ され 二月 で︑ 一 年七 ヶ月 が過 ぎよ うと して いた
︒こ れま で︑ 無視 され てい た被 害者 の権 利に つい てい くつ か盛 り込 まれ たも の の︑ 現状 はほ とん ど変 わっ てい ない と言 う︒ その 現実 の中 で︑ 樫害 者遺 族が 何を 感じ
︑今 何を 思っ てい るの か 心か の叫 びを いく つも 聞い た︒ 少年 法と いう 法律 に守 られ て︑ 人を 殺し たに もか かわ らず
︑未 成年 であ れば
︑ 将来 が残 って いる とい う理 由で やっ てし まっ たこ とに は蓋 をし て﹁ 未来
﹂を 見つ めて いけ るよ うに とあ まり に も早 い少 年た ちの 社会 復帰
︒未 成年 だか ら︑ プラ イバ シー だか らと いう 理由 で︑ 被害 者遺 族に は事 件の 詳細 を 知ら され ない 現実
︑遺 族に 泣き 寝入 りを 強い る地 域の 圧力
︑反 省の 素振 りさ え見 せな い加 害者 とそ の保 護者 の 態度 など
︑そ の︑ 厳し い︿ 重夫
﹀に 圧倒 され るば かり であ った
︒ 被害 者の 本当 の苦 しみ をわ かつ ては いな かっ
lた
そう
︑痛 感し た︒ 子ど もを 理不 尽に 殺さ れた 悲し み︑ 被害 者の 悲し みゃ 怒り
︑そ れだ けに とど まる もの では なか った
︒前 述し たよ うな 様々 な被 害者 の権 利
1気
持ち を無 視し た社 会の 対応 に無 力感 にさ いな まれ てし まう ので ある
︒事 件が 特異 でな けれ ば︑ 大き な記 事と なる こと は ない
︒た だ︑ 亡く なっ た子 ども はど んな 子だ った のか
︑ど んな 夢を 抱い て今 を生 きて いた のか
︑そ んな こと ま では 記事 にな らな い︒
﹁
WILL
﹂で は︑ その 切実 な少 年少 女︑ そし て親
︑兄 弟の 思い が伝 わっ てく る︒ 私が
︑ 直接 参加 し︑ そこ で感 じた 真の 犯罪 被害 者の 姿を 通し て多 くの 問題 を知 るこ とと なっ た︒
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第一 章で は︑ 現在 の少 年法 の基 本理 念︑ 司法 につ いて の︿ 現き をみ てい く︒ 第二 章で は︑ 大山 英子 さん のイ ンタ ビュ ーを
︑事 件前
・事 件に つい て・ 事件 後の 生活 の変 化と いう よう に次 官の 経過 を追 って 記述 する
︒ 第三 章で は︑ 被害 者が 望む もの は何 なの か︑ 大山 さん のイ ンタ ビュ ーよ り︑ 検証 する
︒
470
第一章少年犯罪に対する司法と玄援の︿現在V
まず
︑現 代社 会で の少 年初 罪の 法的 にい かに 位置 付け られ てい るの か見 てみ ると ころ から 始め たい
︒そ の基 本塁 走少 年
法に
記さ
れて
いる
︒い
わば
理相
対主
であ
る︒
少年法第一条(この法律の目的)この法律は︑少年の健康主豆号期し︑非行のある少年に対して性格の矯正共ひ環
境の 調整 に関 する 保護 処分 を行 うと とも に︑ 少年 及び 少年 の福 祉を 害す る成 人の 刑事 事件 につ いて 特別 の婿 置を 講ず る
こと
を目
的と
して
いる
︒ との 条文 は改 正前 と全 く同 じも ので ある
︒
すなわち︑少年法のめざすものは﹁子どもの健主同庄である︒﹁健全育些というと︑整開基本法や児童福祉法と同じ
裡点 に立 つと いう こと がで きる
︒犯 した 醤非 とい う結 果に つい て刑 罰と いv Z
刀法 で責 任を 引き 受け させ る事 を目 的と する 刑 法や
︑そ の手 警差 保証 した 刑事 訴訟 法と は全 く異 なる もの であ る︒
( 1 )
だか ら︑ 少年 法で 少年 に値 する 2
歳0
に満 たな い者 と︑ 成人 とい う満 20 歳以 上の 者を 全く 分け るの であ る︒ 少年 法は 子ど もは 間違 いや 巷﹂ しな がら 成長 し︑ 自立
・自 律し てい く︑ その こと を子 ども 固有 の権 剰と して 社会 商に 保障 して いく とい うも のな ので ある
︒① 子ど もに は可 逆性 があ り︑ 教書 司福 祉的 に対 応す れば 再犯 は関 きや すい
︒@ 還に 昔の よ うに 刑務 所に 入れ るこ とは 恵露 饗か 大き く・
︑再 犯に つな がる こと が少 なく ない
︒③ 少年 の犯 罪は 社会 の環 境に 大き く作 用さ れる ので 子ど もだ けに 責め を負 わせ るべ きで はな いな どの 考え から
︑﹁ 戦後 改革
﹂の 一環 とし て一 九四 八年 に成 立し てい る︒
( 2 )
﹁少年法は少年を甘やかしている﹂・﹁責任を皇克させない﹂といわれる少年法ーその指導理念は︑子ども自
471
身の
﹁立 ち直 るカ
﹂に 依拠 し︑ その 力を 発揮 でき るよ うに 援助 した り︑ 犯罪 につ なが るよ うな 周囲 の環 境の 調 整を 行う こと であ る︒ 刑罰 とい う︑
﹁他 律的
﹂な 手段 とは 費照 に︑ 少年 が責 任を 自覚 し︑ 心か ら反 省し 立ち な る﹁ 自立 的﹂ プロ セス を大 事に して いる
︒こ うい った
︑理 念の 実現 化の ため に少 年ひ とり ひと りに 適し た処 遇 が必 要で ある
︒家 庭裁 判所 が行 う少 年審 判と は︑ 少年 が立 ち直 るた めに 最も ふさ わし い古 思わ れる 処遇 が何 で ある か判 断す るた めの 手続 きで あり
︑少 年に とっ ては
︑立 ち直 りか ら自 立・ 自律 はそ の出 発点 とな るべ き場 所
であ
る︒
少年 の場
AR
捜査 の結 果犯 罪の 嫌疑 があ る限 り︑ すべ ての 事件 が家 庭裁 判所 に送 られ る︒ 立ち 直り のた めに 必要 とさ れれ ば︑ 少年 院に 収容 され る場 合も ある
︒た だし
︑﹁ 保護 を超 える
﹂と 判断 され た場 合は
︑刑 事裁 判︑ つま りは 成人 と同 じ扱 いに 付さ れる
︒こ れが 改正 少年 法で は︑ 十六 歳か ら十 四歳 まで 引き 下げ られ た@
﹁試 験型 察﹂ とは
︑最 終処 分を 保留 しし ばら くの 問︑ 家庭 裁判 所の 調査 官に 預け るこ とで ある
︒し ばら く︑ 試験 観察 をい て問 題が なけ れば
︑保 護観 察に した り︑ 不処 分に した りす る︒ 一方
︑問 題が あれ ば最 終的 に少 年 院に 収容 する こと にな る︒ ー少 年に 対す る処 遇
│(3)①審判不開始(少年法十九条一項)
二種 類あ る︒ 一つ は﹁ 審判 に付 する こと がで きな い﹂ 場合
U
犯罪 を犯 して いな いこ とが わか った 場合 や︑ 所在 不明
の場
合︒
もう 一つ は︑ 調査 の結 果︑ 犯罪 を犯 した 葦然 性は ある が︑ 保護 処分 する まで する 必要 がな いと わか っ た愛弓この場
AR
調査 の課 程で 保護 的措 置を する こと が多 い︒
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不処 分( 少年 法二 三条 二項 ) 二種 類あ る︒ 一つ は︑ 審判 をし た結 果犯 罪を 犯し てい ない こと がわ かっ たよ うな 場合
U
もう一つは︑審判をした結果︑保護処分までする必要がない場合口この場合でも︑審判や調査の課程
で保 護的 措置 をと って いる
︒
a
保護 処分 (少 年法 一一 四条 ) いず れも 罰で はな く︑ 整円
・福 祉措 置で あっ てコ 一種 類あ る︒ いず れも 期間 の定 めは ない
︒ まず
︑保 護観 察で ある がこ れは 自宅 いな がら 保護 観察 所( 具体 的に は保 護司 が行 う) の指 導援 助
を受けることである︒個別に遵守事項を決めてそれを守らせるなどの方法︒法律上原則二O歳
以上 まで
︒指 導に 則っ てい れば
﹁良 好解 除﹂ とさ れ終 了と なる
︒遵 守事 項が 守ら れず
︑犯 罪の 恐 れが あれ ば家 庭裁 判所 に通 告さ れる
︒
次いで︑児童自立支援施設または︑児童養護施設送致である︒これらに送致され収容されて指導援助を受けるものである︒触法少年(十四歳に満たない少年)は少年院送致ができないため施設
収容 が必 要な 場合 の多 くは この 処遇 であ る︒ 最後 が少 年院 送致
1少年の年齢︑犯罪傾向の程度及び︑心身の状況に応じて決宅義務撃事の
もの は初 等少 年院 送致 が︑ それ 以降 の年 齢の もの は中 等少 年院 送致 決定 がな され る︒ 少年 院の 収 容期 間も 決ま って おら ず法 律上
二O歳まで可能である︒少年院からの出院通吊は借退院という形
で行 い︑ その 後︑ 保護 観察 が続 けら れる
︒保 護観 察中 は璽 寸事 項を 守り
︑良 い状 態が 続け ば正 式 に本 書玩 とい う形 で終 了す る︒ しか し︑ 遵守 事項 が守 られ なけ れば 再び 少年 院に 戻さ れる こと が
②
③
473
あ る
︒
検察官恩豪華定)
最後 に︑ 検察 軍恋 致で ある
︒検 察官 に戻 すこ とか ら導 誌と もい う︒ 本人 が二
O歳
以上 の場 合と
︑刑 事 処分 が相 当の 場合 であ る︒ 刑事 処分 が相 当と され て検 察官 に戻 され た事 件に つい ては 検察 官は 嫌疑 が ある 以上
︑必 ず刑 事裁 判所 に起 訴し なけ れば なら ない
︒少 年は この 段階 で成 人と 同じ く刑 事裁 判を 受 け刑 罰を 科せ られ るこ とに なる
︒ 改正 前少 年法 では
︑こ の刑 事処 分の 可能 な年 齢を 十六 歳以 上と して いた が二 OO 一年 四月 から 施行 さ れた 改正 少年 法で はこ れが 十四 歳以 上と なっ た︒ また
︑﹁ 故意 の犯 罪行 為に より
︑被 害者 を死 亡さ せた 罪の 事件
﹂( 殺人
・傷 害致 死等 )を 犯し た十 六歳 以上 の少 年は 原則 刑事 処分 とな った
︒( 少年 法二
O条
二項
) なお
︑こ れら のよ うに
︑最 終処 分を 決め がた いあ るい は︑ 決め るの は適 当で ない 場合 に︑ 中間 処分 と して 試験 観察 側度 があ る︒ これ らの 処遇 の具 体的 な割 合( 究通 関係 事件 を除 いた もの )
① 審 判 不 開 始 四 八 . 三
%
② 不 処 分 十 八 . 九
%
③保 護処 分・
‑保 護観 察
・児 童自 立支 援施 撃守 送致
・少年院送致. ④
474
⑤
二OOO
年
二三.八%
0 . 五
%
七.二%
④刑 事処 分
0・四%
残り は知 事ま たは 児童 相談 所長 へ送 致︑ 年齢 超過 など
︒ 少年 犯罪 壁害 当事 者の 会か ら︑ 少年 法の 改正 を求 める 要望 書が
︑ 務省 に提 出さ れて いる
︒ 一九 九六 年( 平成 九年 )十 二月 に結 成さ れた
﹁少 年犯 罪被 害当 事者 の会
﹂は
︑子 ども を殺 され た十 一の 家族 の親 たち を中 心に 一切 の団 体や 宗教 等に とら われ るこ とな く当 事者 の立 場で 純真 な小 手法 の改 正を 訴え てい 愛 る ︒ する 我が 子を 殺さ れた とい う︑ 絶え がた い衝 撃の 中少 年法 の実 態は 彼ら の疲 れた 心と 体に 重く
︑の しか か るも ので あっ た︒ しか し︑ 悲し みの 中に いな がら も﹁ 真実 を知 りた い﹂ とい う思 いで 立ち 上が り︑ 裁判 を起 こ すこ とで 殺人 の罪 を犯 した 犯人 はそ れ相 応の 罰を 与え られ そし て︑ 罪を 償わ せる こと がで きる こと を信 じて 疑 つて はい なか った
︒す ると
︑そ こに あっ た現 実は
﹁刑 事裁 判﹂ とは 異な る﹁ 審判
﹂が 行わ れ︑ 期日
︑内 査一 守一 切知 らさ れる こと なく 被害 者遺 族の 声も 聞か ぬま ま少 年の 再出 発に 向け ての 処遇 はす でに 決ま って しま って いた ので ある
︒な ぜ? そう いっ た納 得の 行か ない 現実 の中 で少 年法 を目 にす ると ヲそ こに は不 可解 な内 容の 少 年法 があ った のだ
︒私 たち は︑ 正義 をじ ゅう ぶん に活 かす こと ので きな い現 行の 少年 法の 下で 成長 する 子供 たち は︑ むし ろ不 幸だ と思 って いま す︒
"
要望 書に はそ のよ うな 言葉 が記 され てい た︒ 確か
︑少 年法 の基 本概 念は
﹁少 年の 健全 育成
﹂で ある はず であ る︒ それ は︑ この 少年 法が 改正 さ付 る前 も後 も変 わっ ては いな いは ず
であ
る︒
助け を呼 ぶこ とも で者 争︑ 対抗 する こと も許 され ず︑ 殺さ れた 警暑
︒そ して
︑そ の被 害者 を︑ ゲ│ ムや
︑
一九 九七 年( 豆成 一
O年
)四 月二 八日 に法
475